2009/01/19

Friends without a border / 写真家-井津建郎

            Izu Kenro

Friends without a border

ニューヨークにてTiffanyやHarry Winstonのジュエリー写真や、世界の石造遺跡を撮影して来られたプラチナ•プリント第一人者の井津建郎氏。プラチナプリントは密着用のネガで制作するため、フィルムサイズのプリントしか作れない事から、井津さんは一式全部で100キロにおよぶ超大判カメラを特注で作り、チベットの山岳地域や、アンコールワットやラオスの密林地帯に眠る遺跡やブータンの人々を撮影して来られました。ただでさえ登る事の厳しい山々を超大型カメラを運び、写真に納めてくるその努力の結晶が込められた一枚からは感動が伝わって来ます。そして、写真家としてだけでなくカンボジアのアンコール小児病院を建設し、子供達を病気から救うと同時にカンボジア人スタッフに医療、看護や事務管理等の教育もする医療•教育施設を作られ、慈善家としても世にご貢献なさっている井津さんを知る前アシスタントの伊与田成美さん(日本カメラ1月号2009写真の力15人)は井津さんをダライ•ラマの様な人と形容していました。そしてそのカンボジアの小児病院の運営を行っているFriends without a borderの主催する写真のチャリティーオークションのお手伝いを先月ニューヨークにてさせて頂きました。
お手伝いをする事になった経緯もどこか運命的で、東京工芸大学の吉村名誉教授等から写真家としてだけでなく慈善活動家としてもご活躍されている井津さんの功績のお話を伺った夜、急な話で私のニョーヨーク行きが決まりました。そして、現地で活躍するカメラマンの南しずかさん(American PHOTO 2008 広告部門受賞)を友人に紹介してもらい、尊敬する井津さんのお名前を出したところ、丁度、数日後に開催されるチャリティーオークションのスタッフを募集しているとの事でFriends without a borderに紹介して頂きました。オークションではWalker Evansや金沢21世紀美術館にて展示中の杉本博司さん他多数著名な方々の作品を運搬•展示、当日はそれらの作品が自分の手の中で値段がつけられて行くというとても貴重な経験をさせて頂き、その上、井津さんや杉本さんのアシンスタントをやっておられる方々、ニューヨークで活躍するカメラマンと知り合う事が出来、その後も撮影がある際は現場に付き添わせて頂き、色々と教えてもらう事が出来ました。
そして、当日は井津さんご本人に直接プラチナプリントの制作方法等も伺う事が出来、お忙しい中でも丁寧にお答えくださり心から感激しました。

今月25日まで清里フォトアートミュージアムにて開催中の井津建郎「ブータン内なる聖地」では井津さんの美しいプラチナプリントに触れられる絶好のチャンスですので、私も24日に行く予定です。真っ直ぐな思いで写真に取り組んでいらっしゃる井津さんの背中を見て若手カメラマンは学ぶ事が沢山あると思います。