2009/01/30

甦る中山岩太 モダニズムの光と影

       東京都写真美術館にて2月8日(日)まで
美しすぎる程のオリジナルプリントに加え、ガラス乾板により制作されたプリントも展示。
繊細で柔らかい表情を作り出す銀塩写真の危機と言われている今日。商業写真でデジタルが欠かせないのは分かるけれども、独特な風合いをもたらす銀塩写真を次の世代にも伝えて行ける様にして行かなくてはと思えた展示でした。

2009/01/28

くまとやまねこ

2008年の春先に出版された絵本ですが、今日ちょっと立ち寄った本屋さんで初めて手にしました。冒頭から、大切なことりの友人を亡くしてしまったくまくんという内容で始まります。
急な死を受け入れられずに戸惑うくまくんは友人の亡がらをお花で飾り、箱に入れて肌身離さず持ち歩きます。出会う森の動物たちに見せても、忘れて乗り越えないとと言われるばかりで、止まってしまった時間の中一匹だけ取り残されてしまっている孤独感に苛まれます。
そこで、初めて出会う友人から音楽を教えられ、再びくまくんの時間は光に包まれ動き出します。美しいモノクロの絵と切ない内容に悲しみが溢れ、思わず涙が出てしまいますが、小さな光が心の中に灯る様な温かい絵本です。子供から死について聞かれると、難しい事を言っても伝わらないし、大人は何も言えなくなってしまう事が多いと思います。本当の死後の世界はその時にならなければ分かりません。でも、残された者が生きて行くための力を教えてあげなければならないと思います。そんな時に読み聞かせてあげたい絵本です。

2009/01/27

稲越功一 芭蕉景

東京ライカギャラリーにて稲越功一さんの写真展を見て来ました。奥の細道を芭蕉の視点からではなく、芭蕉のお供をした曽根という名脇役の視点を追う事で見えてくるまた別の奥の細道を表現なさっているのだそうです。そして、それは稲越さんの心と共鳴し、出来上がった作品は稲越功一の静かで温かみのある日本人の持つ美しいもののあはれの無常観を表現している様に思えます。ライカギャラリーは世界7カ所に点在し、先月はそのニューヨークギャラリーへも行って来たのですが、国が変わると同じ系列のギャラリーでも展示内容や建築も全く違う雰囲気で、その国の文化が反映されている様でした。日本人の深い魂を感じた展示でした。

ブータン 内なる聖地


先日24日に清里フォトアートミュージアムにて井津建郎さんの展示会を拝見して来ました。
数々の素晴らしい神聖な写真から漂う独特の澄んだ空気に包まれ、崇高な作品に触れた時の安堵感に心も体も癒されました。チベットの美しいカイラス山を見て井津さんは何を思い、写真を撮られたのでしょう。きっとそこに住む神々を感じたのではないかと想像してしまいます。
そして、ブータンという神聖な場所を選ばれた理由が書かれている写真集『井津建郎 ブータン内なる聖地』から一部を抜粋し、ブータンという国がが掲げて来た思想をお伝え出来ればと思います。


ブータンという国は1000年以上にも渡り仏教が続いた国である。『国民総幸福量(GNH=Gross National Happiness)』を第4代国王(ジグミ•シンゲ•ワンチュク)は早くも1986年から唱え、国民の幸福を国家統治の究極の目的とするGNHをGDP(Gross Domestic Production)国内総生産よりも重要だと語って来た。2500年前に仏教が唱えた通り、感情を持つすべての生き物に共通する願いが幸せになる事であり、そして現在、幸福こそが世界を一つにまとめる究極の目的だと言う方向へ向かっている。GDPは欲望や新たな必要性、新たな願望に偏向していて、保護や意図的に保護されるものは評価に値しない。資源の枯渇と環境破壊の脅威が高まる時代にあって、私たちが進歩の指標とすべきは保護である。消費や生産を控えることだ。何を生産し、消費するかだけで発展が測れるわけではない。脅迫的な所有願望から解き放たれることも、幸福につながる自由の源だということを仏教は教えてくれる。
GDPは資本と人的資源の生産量を巧みに数値化する。一方GNHの世界観において私たちが重要視すべきは、環境や精神的、社会的な財産だ。GDPは資金労働に偏向し、余暇や無償労働は無視し、評価する事も注意を払う事もしない。家族が無償で担っている育児や老人介護がもしある日、悲劇的な結末を迎えたとしても、GDPは変わらない。むしろ、そうしたケアを施設に頼む事でGDPは上昇する事になる。けれども、サービス産業によって行われるケアと家族ならではの情愛との違いは大きい。幸福度の指標としてのGDPが抱えるこうした欠陥は、くりかえし指摘されてきたように、収入(GDP)の上昇と、アメリカ、イギリス、日本などの多くの国々における生活満足度の相関しない事実により裏付けられる。
私たちが生きる社会は、幸福は外的な刺激の高まりによって決まるというメッセージに溢れている。外的な刺激によってもたらされる幸福ばかりを強調すれば、物質的な消費への欲求も高まる。贅沢な食事から海沿いの豪邸まで、感覚的な喜びは所有意識とともに高まって行くのである。しかし仏教的な考え方では、幸福は瞑想等の内的な修行を通して得られるものだとし、その研究は神経科学の分野で進められている。幸福を認知する手法は、現在きわめて利己的だ。自己中心的な幸福論に陥る可能性がある。幸福は相互関係の質や方向を抜きにしては定義出来ない。利益を得る事と与える事、分け与える事と与えられる事、という開放的な関係から生まれる幸福。不幸や苦難は豊かな相互関係の崩壊がもたらすものであり、無知は相互関係の否定と考えられている。自分の決断は、そこに関わるあらゆるものの開放的な関係を促進するだろうか?貿易、税、技術、都市化、教育、健康、工業、農業といった社会経済的な計画立案も、仏教的観点からすると相互関係の質に影響する。
ブータン人に最上の幸福をもたらす要素はおおまかに、経済的な保証、家族関係、健康、農業、教育、宗教活動、よい統治、道徳でありこれらの要素はすべて公益と結びついている。
社会的、経済的、政治的、精神的、そして科学技術の変化がどのような影響を与えるかで、反映もすれば衰退もする。発展はどうすれば、より高く、より強く、よりよい関係を私たちにもたらしてくれるのだろうか。社会が多様で有意義であるために、それぞれが異なる能力を持つ必要がある以上、発展は、相互に関わり合う能力の改善、よりよい関係よりよい貢献をなす能力につながる。
幸福は相対的なものではなく、相互的なものである。発展とは、多様性にもとづく関係を構築するために必要な、それぞれに異なる能力を高める事である。
『ブータン 内なる聖地』より

2009/01/26

Starry Night

ゴッホの名画『Starry Night』をMOMAで見て、昨年から取り組んでいた曲を書き終えました。
親友の結婚祝いに私からの贈り物として作らせて頂いていたのですが、なかなか最後まで辿り着く事が出来ずにいました。その時、闇夜に揺れる美しい星空を描いたゴッホの絵を見て、様々な山や谷を二人で乗り越えて行く結婚という、とても儚げで尊く輝く愛を想いイメージが膨らみました。美しく輝く星空も時には闇夜に覆われ、行く先が分からず迷う事もあるかもしれませんが、その先には必ず前にも増して輝く大空に出会えるはず。

Title 『Starry Night』
composed by Yukiko Shimizu

2009/01/19

Friends without a border / 写真家-井津建郎

            Izu Kenro

Friends without a border

ニューヨークにてTiffanyやHarry Winstonのジュエリー写真や、世界の石造遺跡を撮影して来られたプラチナ•プリント第一人者の井津建郎氏。プラチナプリントは密着用のネガで制作するため、フィルムサイズのプリントしか作れない事から、井津さんは一式全部で100キロにおよぶ超大判カメラを特注で作り、チベットの山岳地域や、アンコールワットやラオスの密林地帯に眠る遺跡やブータンの人々を撮影して来られました。ただでさえ登る事の厳しい山々を超大型カメラを運び、写真に納めてくるその努力の結晶が込められた一枚からは感動が伝わって来ます。そして、写真家としてだけでなくカンボジアのアンコール小児病院を建設し、子供達を病気から救うと同時にカンボジア人スタッフに医療、看護や事務管理等の教育もする医療•教育施設を作られ、慈善家としても世にご貢献なさっている井津さんを知る前アシスタントの伊与田成美さん(日本カメラ1月号2009写真の力15人)は井津さんをダライ•ラマの様な人と形容していました。そしてそのカンボジアの小児病院の運営を行っているFriends without a borderの主催する写真のチャリティーオークションのお手伝いを先月ニューヨークにてさせて頂きました。
お手伝いをする事になった経緯もどこか運命的で、東京工芸大学の吉村名誉教授等から写真家としてだけでなく慈善活動家としてもご活躍されている井津さんの功績のお話を伺った夜、急な話で私のニョーヨーク行きが決まりました。そして、現地で活躍するカメラマンの南しずかさん(American PHOTO 2008 広告部門受賞)を友人に紹介してもらい、尊敬する井津さんのお名前を出したところ、丁度、数日後に開催されるチャリティーオークションのスタッフを募集しているとの事でFriends without a borderに紹介して頂きました。オークションではWalker Evansや金沢21世紀美術館にて展示中の杉本博司さん他多数著名な方々の作品を運搬•展示、当日はそれらの作品が自分の手の中で値段がつけられて行くというとても貴重な経験をさせて頂き、その上、井津さんや杉本さんのアシンスタントをやっておられる方々、ニューヨークで活躍するカメラマンと知り合う事が出来、その後も撮影がある際は現場に付き添わせて頂き、色々と教えてもらう事が出来ました。
そして、当日は井津さんご本人に直接プラチナプリントの制作方法等も伺う事が出来、お忙しい中でも丁寧にお答えくださり心から感激しました。

今月25日まで清里フォトアートミュージアムにて開催中の井津建郎「ブータン内なる聖地」では井津さんの美しいプラチナプリントに触れられる絶好のチャンスですので、私も24日に行く予定です。真っ直ぐな思いで写真に取り組んでいらっしゃる井津さんの背中を見て若手カメラマンは学ぶ事が沢山あると思います。

西園寺里香著 ”いとおしい生命”


今日は私の大好きな大好きな大親友、西園寺里香ちゃんの書かれた素晴らしい本“いとおしい命”の紹介をさせてください。
いつも私を温かく包み込んでくれる里香ちゃんは、私が落ち込んでいる時は、話を聞いてくれるだけでなく熱いお手紙を書いて励まし勇気付けてくれたり、私の活動を私以上に喜び支えてくれたり、本当に言葉では語れない程、感謝している大切な友人です。
その里香ちゃんが書かれた本には潜在意識に訴えかける真っ直ぐな言葉と創造力を掻き立てる愛で溢れた豊かな世界が描かれています。私たちの経験することにはすべて意味があり、すべての機会は私たちに気づきをもたらし、その気づきを通じて目覚めて行く事を教えてくれます。不安や恐怖、憎しみなどの否定的な思いを手放しそのプロセスを感謝する事、やがては自由な本来の姿へと自分を解放し意識を高めて行く事を自身の体験談を交えながら書かれています。
人として心から尊敬する里香ちゃんの言葉一つ一つに思いやりと優しさが滲んでいて、何度も読み返しています。辛い事や悲しい事が溢れてしまった時、手にとって読んでみてください。希望と勇気に心がが弾むはず!

2009/01/11

今年も宜しくお願い致します

遅ればせながらではありますが、昨年はお世話になりありがとうございました!
本年もどうぞ宜しくお願い致します。

2009年は感謝と絆の年に出来ればと思います。
家族や親戚やご先祖様への感謝、生きている事への感謝、友人や隣の人への感謝、日本という国に感謝、世界に感謝。世の中の問題が大きければ大きい程、感謝をする事は難しくなってしまうけれども、だからこそ、その時に感謝する事が大切なのだと思います。
そして、明るいビジョンを持ち問題をより多くの人々と共に考え様々な違いを理解した上で、より良い新しい次元へ進化して行ければと思います^^